歯石を取っても治らないとき|歯周病の外科処置と再生療法

何度もクリーニングに通い、毎日きちんと磨いている。それでも歯ぐきの検査で深いところが残り続ける——大阪市西区・九条の当院でも、こうした状況の方がいらっしゃいます。

通常の清掃で改善しない場合、器具が届いていない場所が残っていることがあります。その先の選択肢として、外科的な処置や、失われた骨を回復させる方法があります。あまり知られていない領域ですので、どういうものかをご説明します。

目次

  1. なぜ取りきれないことがあるのか
  2. 歯ぐきを開いて、見て取る
  3. 失われた骨は戻るのか
  4. その前に、清掃が整っていること
  5. 費用と回数のこと
  6. 抜くしかない、と言われた歯でも
  7. 処置のあとが本番です
  8. まとめ|清掃で改善しないときの選択肢があります

1. なぜ取りきれないことがあるのか

歯周病の基本治療では、歯ぐきの中に器具を差し入れて歯石を取ります。しかしこれは、直接見えない状態で手の感覚を頼りに行う処置です。ポケットが深い場所、根が分かれている場所、根の表面がくぼんでいる場所では、器具が届かず取り残しが生じることがあります。

取り残しがあると炎症は続きます

歯石の表面は細菌のかたまりで覆われています。これが残っている限り、歯ぐきの炎症は消えません。清掃を繰り返しても検査の数値が改善しない場合、磨き方の問題ではなく、届いていない場所が残っている可能性を考える必要があります。

器具が届きにくい場所 1 深いポケット 器具が底に届かない 取り残しが残る 2 根の分かれ目 奥歯の根の股 形が複雑 3 根のくぼみ 平らではない面 沿わせにくい 4 歯が重なる所 並びの影響 近づけない 深さや形によって、見えない状態での処置には限界があります

▲ 磨き方の問題ではないことがあります

2. 歯ぐきを開いて、見て取る

外科的な処置では、歯ぐきを部分的に開いて、根の表面を目で見える状態にします。そのうえで残った歯石や汚染された組織を取り除き、元通りに戻して縫合します。見ながら処置できるため、届かなかった場所にも対応できます。麻酔をして行いますので、処置中に痛みを感じることはほとんどありません。処置後は数日のあいだ腫れや違和感が出ることがありますが、多くは自然に落ち着きます。縫った糸は1週間ほどで外します。

すべての方に必要なものではありません

基本治療で改善する方には行いません。あくまで、清掃を尽くしても深い部分が残る場合の次の手段です。当院ではまず基本治療を丁寧に行い、再検査で改善の程度を確認したうえで、必要な場合にご提案しています。

歯周病治療の進め方 1 検査 ポケットの深さを記録 2 基本治療 歯石を取り清掃を整える 3 再検査 改善の程度を確認 4 必要なら外科処置 残った部分に対応 必要な期間や回数は状態によって異なります

▲ いきなり外科処置を行うことはありません

3. 失われた骨は戻るのか

歯周病で溶けた骨は、自然には戻りません。ただし、骨の失われ方が特定の形をしている場合に限り、回復を促す方法があります。これが歯周組織再生療法です。薬剤や材料を用いて、骨や歯を支える組織が再びできるのを助けます。

どんな場合でもできるわけではありません

適応となるのは、骨が垂直方向に溝のように失われている場合などです。水平に広く失われている場合には向きません。また、喫煙している方や、清掃が行き届いていない状態では、期待した結果になりにくいことが知られています。

再生療法が向く場合・向かない場合 検討できる場合 ・骨が溝のように失われている ・残っている骨の壁が多い ・清掃が行き届いている ・炎症が落ち着いている ・喫煙していない 向かない場合 ・骨が水平に広く失われている ・支えがほとんど残っていない ・清掃の状態が整っていない ・喫煙が続いている ・歯がぐらついて動く

▲ 骨の失われ方の形によって、できるかどうかが決まります

4. その前に、清掃が整っていること

外科処置も再生療法も、日々の清掃が整っていることが前提です。処置で一度きれいにしても、汚れが再び溜まれば炎症は戻ります。当院で基本治療に時間をかけるのは、その先の処置の成否がここで決まるためです。遠回りに見えて、これが近道です。

喫煙は結果に影響します

喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、治りを妨げることが知られています。また、出血が起こりにくくなるため、炎症があっても気づきにくくなります。外科的な処置を検討する場合には、喫煙についてもお話をさせていただいています。

処置の前に整えておくこと 毎日の清掃が続けられている 歯間の清掃も行っている 炎症が落ち着いている かみ合わせの負担が偏っていない 喫煙について相談できている 全身の状態と服薬を伝えてある 喫煙は治りに影響することが知られています

▲ ここが整っていないと、処置の結果が出にくくなります

5. 費用と回数のこと

歯周病の基本治療と、保険で認められている範囲の外科処置は保険が適用されます。一方、再生療法に使う材料には、保険が適用されるものと自由診療(保険適用外)となるものがあります。どちらに該当するかは、使う材料と状態によって変わります。

事前に総額をお伝えします

処置に入る前に、必要な回数と費用の見通しをご説明します。自費となる場合はその理由もあわせてお伝えしますので、納得したうえで選んでいただければと思います。医療費控除の対象になりますので、領収書は保管しておいてください。

基本治療と外科的な処置 比較項目 基本治療 外科的な処置 見えるかどうか 見えない状態で行う 見ながら行う 深い部分 届かないことがある 対応できる 麻酔 部分的に使う 麻酔をして行う 体への負担 小さい 大きくなる 対象となる方 ほとんどの方 改善しない場合に限る 費用 保険が適用されます 材料により自費のことも

▲ 多くの方は基本治療の範囲で改善します

6. 抜くしかない、と言われた歯でも

他院で抜歯と言われた歯が、必ず抜かなければならないとは限りません。骨の失われ方によっては、対応できる場合があります。もちろん、支えがほとんど残っていない歯や、根まで割れている歯は難しいのが実際のところです。

まず現状を数値で把握します

判断には、ポケットの深さの記録とレントゲンが必要です。どの歯がどの程度の状態にあるのかを整理したうえで、残せる可能性と、その場合に必要な処置をご説明します。すぐに決めていただく必要はありません。

歯周病の進み方と対応 軽度 歯ぐきの炎症 出血する 清掃で改善する 中等度 骨が減りはじめる ポケットが深い 基本治療を徹底 重度 支えが減る 揺れてくる 外科処置を検討 末期 支えを失う 強く動く 抜歯の判断も 進み方や対応には個人差があります

▲ 段階によって、選べる方法が変わります

7. 処置のあとが本番です

外科処置や再生療法を行っても、それで終わりではありません。歯周病は細菌による病気ですので、清掃が乱れれば再び進みます。処置後は通常より短い間隔で確認し、状態が安定していることを見ながら間隔を調整していきます。

続けられることを一緒に決めます

理想的な手入れを提示しても、続かなければ意味がありません。ご都合や生活のリズムをうかがったうえで、無理のない方法を一緒に決めています。処置を受けた歯を長く保つには、この積み重ねが欠かせません。

処置よりも、その後が結果を決めます その後 が本番です 処置そのもの 取りきる・回復を促す 日々の清掃 乱れれば再び進みます 定期的な確認 短めの間隔から始める 必要な間隔や方法には個人差があります

▲ 処置は出発点で、維持できるかどうかが問われます

まとめ|清掃で改善しないときの選択肢があります

歯周病の基本治療は、直接見えない状態で歯ぐきの中の歯石を取る処置です。ポケットが深い場所や根が分かれている場所では、器具が届かず取り残しが生じることがあります。清掃を尽くしても検査の数値が改善しない場合、磨き方ではなく、届いていない場所が残っている可能性を考える必要があります。

その先の選択肢が、歯ぐきを開いて見ながら取り除く外科的な処置と、失われた骨の回復を促す再生療法です。ただし再生療法は骨の失われ方が特定の形をしている場合に限られ、清掃が整っていることが前提になります。使う材料によっては自由診療(保険適用外)となります。改善の程度には個人差がありますので、まずは現状を数値で把握するところからご案内しています。大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックまでご相談ください。

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出典・参考資料

  • 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
  • 公益社団法人 日本臨床歯周病学会
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
  • 国税庁 タックスアンサー「医療費控除の対象となる歯の治療費」

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。本記事で扱う治療には自由診療(保険適用外)が含まれます。詳しくは歯科医師にご相談ください。