抜歯をした夜、痛みがどれくらい続くのか不安になる方は多いと思います。ましてや数日経ってから痛みが強くなってきた場合、何か問題が起きたのではないかと心配になるのは当然のことです。
抜歯後の傷は、決まった順序で治っていきます。その流れを知っておくと、順調な経過なのか、それとも受診したほうがよい状態なのかを見分けやすくなります。大阪市西区・九条の当院で実際にお伝えしている内容を、この記事にまとめました。
目次
- 抜いたあと、穴はどう治るのか
- ドライソケットとは何か
- かたまりが失われる原因
- 抜いた当日に気をつけること
- 翌日以降の過ごし方
- 受診したほうがよい場合
- 抜いたあとの場所をどうするか
- まとめ|痛みが増していくときはご連絡ください
1. 抜いたあと、穴はどう治るのか
歯を抜いた場所には穴が残ります。この穴はまず血液で満たされ、それが固まってゼリー状のかたまりになります。このかたまりが、傷口にとってのふたの役割を果たします。骨と神経がむき出しの状態を覆い、その下で新しい組織が作られていきます。治り方の出発点は、このかたまりができるかどうかにかかっています。
かさぶたと同じ役割です
皮膚を切ったときにかさぶたができるのと同じで、傷を守りながら内側で修復が進みます。違うのは、口の中は常に濡れていて、食事や会話で動く場所だという点です。そのぶん、このかたまりは取れやすい環境にあります。
▲ 順調であれば、痛みは日を追って軽くなっていきます
2. ドライソケットとは何か
血のかたまりが早い段階で失われ、骨がむき出しになったまま治りが進まない状態を、ドライソケットと呼びます。この状態になると、通常の抜歯後とは違う強い痛みが出ます。傷そのものより、覆いを失ったことによる痛みだと考えていただくと分かりやすいかもしれません。
痛みの出方に特徴があります
通常の抜歯後は、痛みが最初に強く、日を追って軽くなっていきます。ドライソケットではこれが逆になり、2〜3日経ってから痛みが強くなる、あるいは一度引いた痛みがぶり返すという経過をたどります。この違いが見分けの手がかりです。
▲ 痛みが増していく場合は、受診をご検討ください
3. かたまりが失われる原因
もっとも多いのは、強くうがいをして流してしまう場合です。血の味が気になって何度もすすいでしまう、という方は少なくありません。ほかにも、舌や指で触る、吸う動作をする、といった行為でも取れてしまいます。喫煙も影響することが知られています。また、抜くのが難しい歯だった場合や、抜いた場所の骨がもともと硬い場合にも起こりやすいとされています。ご自身の心がけだけでは避けきれない要因もありますので、なってしまったことを気に病む必要はありません。
気になっても、触らないでください
違和感があると、つい舌先で確かめたくなるものです。しかし、そのたびにかたまりは不安定になります。もっとも大切な対策は、気にしないこと、そして触らないことです。ここを守れるかどうかで経過が変わってきます。
▲ どれも無意識にやってしまいやすいものばかりです
4. 抜いた当日に気をつけること
当日にどう過ごすかが、その後の経過を大きく左右します。血行がよくなると出血しやすくなるため、入浴は湯船につからずシャワー程度に、運動や飲酒は控えていただきます。麻酔が効いているあいだの食事も避けてください。感覚がないまま噛んで傷を作ることがあります。
出血が続くときの止め方
にじむ程度の出血は数時間続くことがあり、心配はいりません。気になる場合は、清潔なガーゼを丸めて抜いた場所に当て、20分ほどしっかり噛んでください。何度も確認するために外してしまうと、かえって止まりにくくなります。
▲ 当日の過ごし方が、その後の経過を左右します
5. 翌日以降の過ごし方
翌日からは、傷口を避けながら通常どおり歯みがきをしていただきます。清潔にすることは大切ですが、抜いた場所そのものに歯ブラシを当てる必要はありません。うがいも、ゆすぐ程度にとどめてください。食事は、傷口に当たらない側でやわらかいものから始めます。
腫れが出ることもあります
抜歯の内容によっては、翌日から2〜3日にかけて腫れが出ることがあります。多くは自然に引いていきますが、冷やしすぎると回復が遅れることもあるため、強く冷やし続けることは避けてください。腫れ方が強い場合はご連絡ください。
▲ 痛みがなくても、経過の確認にはお越しください
6. 受診したほうがよい場合
痛みが日を追って軽くなっているのであれば、順調な経過です。判断の目安は、痛みが増しているかどうかです。3日目以降に痛みが強くなる、痛み止めが効かない、耳やこめかみのあたりまで響く。こうした場合は、我慢せずご連絡ください。
処置で痛みは軽くなります
ドライソケットと判断された場合、傷口を洗浄して薬を詰めるなどの処置を行います。処置そのものは短時間で済み、痛みはやわらぎます。放置しても最終的には治りますが、そのあいだ強い痛みが続くことになりますので、早めの受診をおすすめします。
▲ 迷われたときは、ご連絡いただいて構いません
7. 抜いたあとの場所をどうするか
傷が落ち着いたあと、抜けたままにしておくと、周りの歯が倒れ込んだり、噛み合っていた歯が伸びてきたりすることがあります。すぐに何かを入れなければならないわけではありませんが、そのままにする場合も、変化を確認していく必要があります。
選択肢は複数あります
入れ歯、ブリッジ、インプラントといった方法があり、それぞれ費用も期間も異なります。インプラントは自由診療(保険適用外)です。抜歯直後に決めていただく必要はありませんので、傷が落ち着いてからゆっくり考えていただければと思います。
▲ 急ぐ必要はありませんが、変化は少しずつ進みます
まとめ|痛みが増していくときはご連絡ください
抜歯後の傷は、血のかたまりがふたの役割を果たすことで治っていきます。このかたまりが早く失われると、骨がむき出しになって強い痛みが出ます。これがドライソケットです。もっとも多い原因は、強くうがいをして流してしまうこと。次いで、舌や指で触ってしまうことです。
見分けの手がかりは痛みの出方です。通常は当日がもっとも強く、日を追って軽くなります。逆に3日目以降に痛みが強くなる、痛み止めが効かない、耳やこめかみまで響くという場合は、受診をおすすめします。処置で痛みはやわらぎます。治り方や痛みの感じ方には個人差がありますので、迷われたときは大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックまでご連絡ください。
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出典・参考資料
- 公益社団法人 日本口腔外科学会
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
- 一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。詳しくは歯科医師にご相談ください。








