口が渇く・ネバつく|唾液が減ると、むし歯も歯周病も進みます

朝起きたときに口がネバつく、話しているうちに口が渇いて話しにくい、味を感じにくくなった気がする——こうした症状は、加齢や体質のせいだと思われがちです。しかし、その背景には唾液の減少があることが少なくありません。

唾液は、単に口を潤しているだけのものではありません。むし歯や歯周病を防ぐ働きを担っています。そのため、唾液が減ると口の中の状況は大きく変わります。大阪市西区・九条の当院で、症状の背景と対策をご説明します。

目次

  1. 唾液が担っている仕事
  2. 減る原因はさまざまです
  3. 乾くと何が起きるか
  4. 自分でできること
  5. 歯科でできること
  6. 舌の状態も見てください
  7. 加齢だからと諦めないでください
  8. まとめ|乾きは、口の中の条件が変わったサインです

1. 唾液が担っている仕事

唾液には、食べかすを洗い流す、細菌の増殖を抑える、食後に酸性へ傾いた口の中を中性に戻す、溶けはじめた歯の表面を修復する、といった働きがあります。これらはすべて、むし歯や歯周病を防ぐことに直結しています。量が減れば、その働きも弱まります。

食べていないときも出ています

唾液は食事のときだけ出るものではなく、安静にしているあいだも少しずつ分泌されています。この安静時の唾液が減ることが、口の乾きとして自覚されます。就寝中は分泌が減るため、朝起きたときにネバつきを感じやすくなります。

唾液が果たしている役割 1 洗い流す 食べかすと細菌を 流し去る 2 酸を戻す 食後の酸性を 中性に近づける 3 修復を助ける 溶けた表面を 作り直す 4 細菌を抑える 増殖を抑える 成分を含む 量が減ると、これらの働きがすべて弱まります

▲ 口を潤すだけのものではありません

2. 減る原因はさまざまです

加齢によって分泌が減ることはありますが、それだけではありません。服用中のお薬の影響、糖尿病などの全身の病気、ストレスや緊張、水分の摂取不足、口で呼吸する習慣。複数の要因が重なっていることも多くあります。

薬の影響は見落とされがちです

血圧の薬、アレルギーの薬、精神科の薬など、口の渇きが副作用として知られているものは少なくありません。複数の薬を服用している場合は影響が重なることもあります。自己判断で中止せず、まずは処方した医師にご相談ください。

心当たりがないか確認してみてください 複数の薬を服用している 日中も口で呼吸している 水分をあまり摂っていない 緊張する場面が続いている よく噛まずに食べている いびきをかく・口を開けて寝る 服用中のお薬は自己判断で中止しないでください

▲ 複数が重なっていることも多くあります

3. 乾くと何が起きるか

洗い流す働きが弱まるため、汚れが停滞しやすくなります。酸を中和する力も落ちるので、歯の表面が溶けやすい状態が長く続きます。その結果、むし歯が増える、歯周病が進む、口臭が出やすくなる、といった変化が現れます。

入れ歯やインプラントにも影響します

唾液は入れ歯の吸着にも関わっています。乾いていると外れやすく、粘膜がこすれて傷つきやすくなります。インプラントを入れている場合も、周囲に炎症が起きやすくなるため、注意が必要です。また、乾いた状態では粘膜がこすれて口内炎ができやすくなり、それ自体が食事のしにくさにつながります。装置を使っている方ほど、渇きの影響は日常の場面で表れやすいと言えます。

唾液が減ったあとに進むこと 1 ネバつき 朝に感じやすい この時点で対策を 2 汚れが残る 口臭が気になる 清掃と保湿を 3 むし歯が増える 複数の歯に同時に 予防処置を強める 4 歯ぐきも悪化 腫れや出血 治療が必要になる 進み方には個人差があり、必ずこの通りではありません

▲ 自覚しにくいところから、少しずつ進みます

4. 自分でできること

まず、こまめに水分を摂ってください。一度にたくさん飲むより、少しずつ回数を分けるほうが効果的です。糖分を含む飲み物を頻繁に飲むと、かえってむし歯のリスクが上がりますので、水やお茶を選んでいただくのがよいと思います。

よく噛むことが刺激になります

唾液は、噛む刺激によって分泌が促されます。食事のときによく噛む、糖分を含まないガムを噛むといった方法があります。あごの下や頬のあたりを軽くさするマッサージも、分泌を促す方法として知られています。やわらかいものばかりを選んでいると噛む回数が減りますので、食材の切り方や種類を少し見直すだけでも変わってきます。

取り入れたいこと・避けたいこと 取り入れたいこと ・こまめに水分を摂る ・食事でよく噛む ・糖分を含まないガムを噛む ・鼻で呼吸するよう意識する ・保湿剤を使ってみる 避けたいこと ・糖分を含む飲み物を頻繁に飲む ・アルコールを含む洗口剤の常用 ・口を開けたまま過ごす ・水分を控えてしまう ・渇きを我慢して放置する

▲ 毎日の習慣の積み重ねで変わってきます

5. 歯科でできること

唾液の量を測る検査を行い、現状を数値で確認することができます。そのうえで、フッ素を用いた予防処置の間隔を短くする、清掃の方法を見直す、保湿のための製品をご提案するといった対応をとります。渇きが強い場合は、内科への受診をおすすめすることもあります。

検診の間隔を見直します

唾液が減っている方は、むし歯や歯周病が進みやすい状態にあります。そのため、通常より短い間隔での確認をご案内することがあります。予防を目的とした処置は自由診療(保険適用外)となる場合がありますので、事前にご説明します。

受診したときの流れ 1 お話をうかがう 症状と服薬を確認 2 口の中を確認 粘膜と唾液の状態 3 対策を決める 予防処置と手入れの見直し 4 経過を追う 間隔を短めに確認 原因によっては医科への受診をおすすめすることがあります

▲ まず現状を確認するところから始めます

6. 舌の状態も見てください

口の乾きが続くと、舌の表面に汚れが付着しやすくなります。白っぽく見える場合、それは細菌や古くなった細胞が溜まったものです。口臭の原因になることもあります。ただし、力を入れてこすり取ると舌を傷つけますので、注意が必要です。

やさしく、奥から手前へ

舌を清掃する場合は、専用の器具か柔らかいブラシを使い、奥から手前へ軽く動かします。1日1回程度で十分です。毎回強くこすると、かえって表面を傷つけて感覚が鈍ることがあります。

唾液が十分な口と、乾いた口 比較項目 唾液が十分 乾いている 汚れの停滞 洗い流される 残りやすい 食後の回復 中性に戻りやすい 酸性が長く続く むし歯 進みにくい 複数同時に増えることも 口臭 出にくい 気になりやすい 入れ歯 安定しやすい 外れやすくなる 粘膜と舌 潤って保たれる 傷つきやすい

▲ 同じ手入れをしていても、条件が違えば結果が変わります

7. 加齢だからと諦めないでください

年齢のせいだと思って相談されないまま過ごしている方が多くいらっしゃいます。しかし、原因が薬にあるのか、呼吸の仕方にあるのか、全身の状態にあるのかによって、できる対応は変わります。まずは何が影響しているのかを確かめることから始めます。

食べる力にも関わります

唾液が少ないと、食べ物をまとめて飲み込むことが難しくなります。飲み込みにくさを感じるようになると、食べられるものが限られ、栄養にも影響します。口の中の話にとどまらないという点で、早めの対応に意味があります。

口の乾きが影響する範囲 口だけ の話ではない 歯と歯ぐき むし歯と歯周病が進みやすい 食べる・話す 飲み込みにくさにつながる 全身との関わり 薬や病気が背景にあることも 症状の程度や影響には個人差があります

▲ 口の中の問題にとどまらないことがあります

まとめ|乾きは、口の中の条件が変わったサインです

唾液には、汚れを洗い流す、食後の酸を中和する、溶けはじめた歯の表面を修復する、細菌の増殖を抑えるといった働きがあります。量が減ればこれらがすべて弱まるため、同じように手入れをしていても、むし歯や歯周病が進みやすくなります。口の渇きやネバつきは、その条件が変わったことを示すサインです。

原因は加齢だけでなく、服用中のお薬、口呼吸の習慣、水分不足、全身の状態などさまざまです。こまめな水分補給とよく噛むことが基本になりますが、まずは何が影響しているのかを確かめることが大切です。歯科では唾液の量を確認し、予防処置や検診の間隔を見直すことができます。症状の程度には個人差がありますので、気になる方は大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックまでご相談ください。

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出典・参考資料

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
  • 一般社団法人 日本老年歯科医学会
  • 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
  • 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。詳しくは歯科医師にご相談ください。