あくびをしたとき、あごがカクッと鳴る。大きな口を開けにくい。硬いものを噛むとあごがだるい——大阪市西区・九条の当院にも、こうしたご相談が寄せられます。痛みがないため、放置されている方が多いのも特徴です。
顎関節症は珍しい病気ではなく、程度の差はあれ多くの方が経験するとされています。この記事では、なぜ起きるのか、放置するとどうなるのか、そしてご自身でできる対策までを整理します。
目次
- 顎関節症とは?あごで起きていること
- 原因は「ひとつ」ではない
- 放置するとどうなるのか
- 自分でできる4つの対策
- 歯科医院での対応
- 歯ぎしりが背景にある場合
- 受診したほうがよい目安
- まとめ|あごの負担を減らすことから始める
1. 顎関節症とは?あごで起きていること
あごの関節は、耳のすぐ前にあります。下あごの骨と頭蓋骨がつながる部分で、その間には関節円板というクッションの役割を果たす組織が挟まっています。この関節や、あごを動かす筋肉に不具合が起きた状態をまとめて顎関節症と呼びます。
音が鳴るのはクッションのずれ
口を開けたときのカクッという音は、多くの場合この関節円板が本来の位置からずれ、開閉のときに引っかかって戻る音です。音だけで痛みがなく、生活に支障がなければ、ただちに治療が必要とは限りません。ただし変化がないか確認しておくことは大切です。
▲ 音だけの場合と、痛みや開口障害を伴う場合では対応が変わります
2. 原因は「ひとつ」ではない
顎関節症は、単一の原因で起きることは少なく、複数の要因が積み重なって発症すると考えられています。歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせのずれ、頬づえや片側だけで噛む習慣、うつぶせ寝、そして精神的な緊張やストレス。これらが重なり、あごの負担が許容量を超えたときに症状として表れます。
無意識の癖が積み重なる
日中、集中しているときに上下の歯を接触させ続けている方が少なくありません。本来、安静時の上下の歯はわずかに離れているのが正常です。軽い接触でも長時間続けば、あごの筋肉は休めず疲労が蓄積します。この癖は自覚しにくいのが厄介な点です。
▲ ひとつひとつは小さくても、重なることで限界を超えます
3. 放置するとどうなるのか
音が鳴るだけの段階では日常生活に支障が出にくいため、多くの方が様子を見ています。実際、自然に落ち着くこともあります。ただし負担がかかり続けると、痛みが出る段階、さらに口が開きにくくなる段階へと進むことがあります。食事や会話に支障が出てはじめて受診される方も少なくありません。
歯にも影響が及ぶ
あごへの過剰な力は、歯そのものにも及びます。エナメル質がすり減る、歯にひびが入る、詰め物が繰り返し外れる、歯を支える骨に負担がかかるといった形で表れます。あごの症状と歯のトラブルが同時に起きている場合、原因が共通していることがあります。
▲ 早い段階ほど、生活習慣の見直しで改善が期待できます
4. 自分でできる4つの対策
顎関節症の対策の中心は、あごへの負担を減らすことです。最も効果が期待できるのが、日中の歯の接触に気づいて離すこと。パソコンやスマートフォンの近くに小さな付箋を貼り、目に入ったら上下の歯が触れていないか確認して、力を抜いて離す。これを繰り返すうちに、接触に気づけるようになります。
痛むときは無理に動かさない
口が開きにくいとき、無理に大きく開けようとすると症状が悪化することがあります。硬いものや大きく口を開ける食べ物を避け、あごを休ませてください。ガムを長時間噛む、いか・するめなど硬いものを好んで食べる習慣がある方は、症状が落ち着くまで控えましょう。
▲ 特に「日中に歯を離す」ことの効果は大きいとされています
5. 歯科医院での対応
セルフケアで改善しない場合は、歯科医院での対応を検討します。中心となるのが、就寝中に装着するマウスピース(スプリント)です。歯とあごにかかる力を分散させ、関節と筋肉を休ませます。就寝中の歯ぎしりは自分では制御できないため、装置で受け止める考え方です。
噛み合わせの確認も行う
詰め物や被せ物の高さが合っていないことが、あごの偏った負担につながっている場合があります。診察では実際にどこで噛んでいるかを確認し、必要に応じて調整します。あわせて、日中の癖についてもお話をうかがい、生活の中で改善できる点を一緒に探します。
▲ 多くは装置と習慣の見直しで対応します
6. 歯ぎしりが背景にある場合
顎関節症の背景に、就寝中の歯ぎしりが隠れていることは少なくありません。歯ぎしりの力は、日中に意識して噛む力の数倍に達するとされ、しかも数時間にわたって続きます。この力があごの関節と筋肉、そして歯そのものに毎晩かかり続けることになります。
自分では気づけない
歯ぎしりの多くは無音か、ごく小さな音です。家族に指摘されて初めて気づく方もいますが、まったく音を立てずに強く噛みしめているタイプもあります。朝起きたときにあごがだるい、歯がすり減っている、頬の内側に噛んだ跡があるといったサインが手がかりになります。
▲ 音がしないタイプの歯ぎしりもあります
7. 受診したほうがよい目安
音が鳴るだけで痛みがなく、食事にも支障がなければ、まずは習慣の見直しから始めていただいて構いません。一方で、痛みがある、口が開きにくい、噛めない、症状が続いている、という場合は一度確認しておくことをおすすめします。目安として、縦にした指が3本入らない場合は開口障害と判断します。
あご以外の症状が出ることも
頭痛、耳の詰まった感じ、首や肩のこりなど、あご以外の症状として表れることがあります。他の科を受診しても原因がはっきりしない場合、あごの状態が関係している可能性もあります。気になる症状があれば、あわせてお伝えください。
▲ 指が縦に3本入らない場合は開口障害の目安です
まとめ|あごの負担を減らすことから始める
顎関節症は、歯ぎしりや噛み合わせ、姿勢の癖、ストレスなど複数の要因が積み重なって起こります。音が鳴るだけの段階なら、日中に上下の歯を接触させない、頬づえをやめる、硬いものを控えるといった習慣の見直しで改善が期待できます。
痛みがある、口が開きにくいという段階では、就寝中のマウスピースや噛み合わせの確認といった対応を検討します。あごの症状の背景に歯ぎしりが隠れていることも多く、その場合は歯そのものを守るためにも対応が必要です。大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックにご相談ください。
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出典・参考資料
- 一般社団法人 日本顎関節学会「顎関節症の診療ガイドライン」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
- 公益社団法人 日本口腔外科学会
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。詳しくは歯科医師にご相談ください。








