作ったときはよかったのに、だんだん噛みにくくなってきた。外れやすくて人と食事に行くのが億劫になった——大阪市西区・九条の当院には、入れ歯についてこうしたお悩みでお越しになる方が多くいらっしゃいます。
「合わないのは仕方がない」と諦めてしまう方もおられますが、原因がはっきりすれば調整で改善できることは少なくありません。この記事では、入れ歯が合わなくなる理由と、どこまで調整で対応できるのか、そして作り替えを考える目安を整理します。
目次
- 合わなくなるのは、口の中が変わるから
- 痛いときに起きていること
- 外れる原因は一つではありません
- 自分で削るのは避けてください
- 調整と作り直しの選択肢
- 保険の入れ歯と自費の入れ歯
- 入れ歯も定期的な確認が必要です
- まとめ|合わないままにしないでください
1. 合わなくなるのは、口の中が変わるから
入れ歯そのものは、時間が経っても形が変わりません。ところが、それを支える歯ぐきと骨のほうは変化していきます。歯を失った部分の骨は少しずつ痩せていくため、作ったときはぴったりだった入れ歯でも、次第にすき間ができてきます。これが合わなくなる最大の理由です。
痩せ方には個人差があります
骨の減り方は人によって差が大きく、また抜歯からの経過期間によっても変わります。抜歯して間もない時期は変化が大きいため、作り替えが早めに必要になることもあります。一方で、年単位で安定している方もいらっしゃいます。
▲ 入れ歯は変わらず、支える側が変わっていきます
2. 痛いときに起きていること
入れ歯が当たって痛い場合、その多くは特定の一点に力が集中しています。全体が均等に当たっていれば、力は分散されて痛みは出にくくなります。逆に、わずかな出っ張りが一か所あるだけで、そこに負担が集まって傷ができます。
痛い場所と原因の場所は違うことがあります
傷ができている場所が、必ずしも問題のある場所とは限りません。反対側のかみ合わせが強すぎて、その反動で別の場所が押しつけられている、ということもあります。全体を見たうえで、どこを削るかを判断します。
▲ 原因が違えば、調整する場所も変わります
3. 外れる原因は一つではありません
外れやすさには、吸着の問題とかみ合わせの問題があります。総入れ歯では歯ぐきとの密着で維持しているため、すき間ができると外れやすくなります。部分入れ歯では、支えとなる歯にかけるばねの状態や、残っている歯の傾きが関係します。
話すとき外れるか、噛むとき外れるか
どんな場面で外れるのかは、原因を絞り込む手がかりになります。話すときに浮くのか、硬いものを噛んだときに落ちるのか、あくびで外れるのか。受診の際にお聞かせいただけると、確認すべき場所が早く見つかります。また、いつ頃から外れるようになったのかも重要です。急に変わったのであれば入れ歯側に原因があることが多く、少しずつ進んだのであれば支える側の変化を疑います。
▲ まずは調整で対応できるかどうかを確認します
4. 自分で削るのは避けてください
痛いところを自分で削ってしまう方がいらっしゃいますが、これはおすすめできません。削りすぎると元に戻せず、本来支えるべき場所を失って、かえって不安定になります。また、力の集中している原因が別の場所にある場合、削っても解決しません。
接着剤の使い方にも注意が必要です
市販の安定剤は一時的な助けにはなりますが、合わない状態を覆い隠してしまう面もあります。使い続けているうちに、下で骨の変化が進んでいることもあります。使う場合も、定期的に状態を確認しながらにしていただければと思います。
▲ 伝えていただけると、原因が早く見つかります
5. 調整と作り直しの選択肢
当たる場所を削る調整のほかに、入れ歯の裏側にあらためて材料を足して、今の歯ぐきの形に合わせる方法があります。土台の部分だけを作り直すため、全部を新しくするより負担が小さく済みます。すき間が広がってきた場合には、この方法が有効なことがあります。
何が起きているかによって方法を選びます
同じ「合わない」でも、原因によって適した対応は変わります。当院ではまず状態を確認し、調整で足りるのか、裏側の作り直しが必要か、あるいは新しく作るべきかをご説明したうえで、ご希望をうかがって決めています。
▲ いきなり作り替えをおすすめすることはありません
6. 保険の入れ歯と自費の入れ歯
保険が適用される入れ歯は、使える材料と構造が決まっています。費用を抑えられる一方、床と呼ばれる部分に厚みが必要で、装着感に影響することがあります。自由診療(保険適用外)の入れ歯では材料の選択肢が広がり、薄く作ることや、金属のばねを使わない設計を選べる場合があります。
高いほうがよいとは限りません
自費の入れ歯が常に適しているわけではありません。残っている歯の状態や、あごの形、そしてご希望によって、適した設計は変わります。費用の違いだけでなく、それぞれの利点と制約をご説明したうえで選んでいただければと思います。
▲ どちらが適しているかは、口の中の状態によって変わります
7. 入れ歯も定期的な確認が必要です
入れ歯を使っている方こそ、定期的に状態を見せていただきたいと考えています。支えている歯ぐきの変化、残っている歯の健康、入れ歯そのもののすり減り。これらは同時に進みますので、痛みが出てからでは対応が大きくなりがちです。
残っている歯を守ることが先決です
部分入れ歯の場合、ばねをかけている歯には通常より大きな負担がかかります。この歯を失うと、入れ歯の設計そのものを変えなければなりません。残っている歯の手入れと確認は、入れ歯を長く使うためにも欠かせません。
▲ 入れ歯だけを見ていても、長くは使えません
まとめ|合わないままにしないでください
入れ歯が合わなくなるのは、入れ歯が変わるからではなく、支えている歯ぐきと骨が変化するためです。一点に当たって痛い、話すと浮く、といった不具合の多くは、原因がはっきりすれば調整で改善できます。自分で削ったり、安定剤で覆い隠したりする前に、一度状態を見せていただければと思います。
調整で足りない場合には、裏側だけを作り直す方法や、新しく作る方法があります。自由診療(保険適用外)の入れ歯では選択肢が広がりますが、高いほうが常に適しているわけではありません。噛み心地や装着感の感じ方には個人差があります。合わないまま使い続けると残っている歯にも負担がかかりますので、大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックまでご相談ください。
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出典・参考資料
- 公益社団法人 日本補綴歯科学会
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。本記事で扱う治療には自由診療(保険適用外)が含まれます。詳しくは歯科医師にご相談ください。








