お茶を飲んでむせるようになった。前は食べられたものを避けるようになった。滑舌が悪くなった気がする——年齢のせいだと片づけられがちですが、これらは口の働きが少しずつ落ちてきているサインかもしれません。
オーラルフレイルという言葉があります。歯を失う手前、噛む力や飲み込む力が衰えはじめた段階を指します。大阪市西区・九条の当院で、この段階に気づいていただきたい理由と、確認の仕方をお伝えします。
目次
- 歯を失う前の段階があります
- 食べられないと、体が弱ります
- 自分で確認できること
- 歯科で確認していること
- 毎日できること
- 口の清潔さが肺を守ります
- 年齢のせいにしないでください
- まとめ|落ちはじめに気づくことが大切です
1. 歯を失う前の段階があります
口の働きの衰えは、ある日突然起こるものではありません。硬いものを避ける、食事に時間がかかる、少しむせる。こうした小さな変化が先に現れます。この段階では自覚しにくく、周囲も気づきにくいため、そのまま進んでしまうことが少なくありません。
気づけば戻せる段階です
重要なのは、この時期であれば働きを取り戻せる可能性があるということです。筋肉の力と同じで、使わなければ落ち、使えば維持できます。失ってから対応するのではなく、落ちはじめに気づくことに意味があります。
▲ 早い段階なら、取り戻せる余地があります
2. 食べられないと、体が弱ります
噛みにくくなると、自然とやわらかいものを選ぶようになります。やわらかい食品は炭水化物に偏りやすく、肉や野菜が減ります。その結果、たんぱく質が不足し、筋肉が落ちていきます。筋肉が落ちれば、口の筋肉も含めてさらに機能が下がります。
口から始まる悪循環があります
食べられるものが減る、栄養が偏る、筋力が落ちる、さらに食べにくくなる。この循環に入ると、外出や人と会う機会も減っていきます。口の働きを保つことは、単に食事の問題ではなく、生活そのものに関わってきます。
▲ 口の問題は、口だけにとどまりません
3. 自分で確認できること
特別な検査をしなくても、日常の中で気づける変化があります。半年前と比べて、硬いものが食べにくくなっていないか。お茶や汁物でむせることが増えていないか。口が渇きやすくなっていないか。滑舌はどうか。まずはこの4点を振り返ってみてください。
ご家族から見た変化も手がかりです
ご本人は変化に慣れてしまうため、気づきにくいことがあります。食事に時間がかかるようになった、食べこぼしが増えた、薬が飲みにくそう。ご家族から見た変化のほうが、はっきりしていることも少なくありません。
▲ 半年前と比べてどうかを考えてみてください
4. 歯科で確認していること
当院では、むし歯や歯周病の確認に加えて、噛む力、舌の動き、唾液の量、飲み込みの様子も見ています。残っている歯の数と、入れ歯が合っているかどうかも重要です。噛める状態が整っていなければ、機能の話をしても始まりません。
まず噛める状態を作ります
合わない入れ歯を使い続けている、抜けたままの場所がある、痛みで片側でしか噛めない。こうした状態があれば、まずそこを整えます。道具が整っていない状態で「よく噛みましょう」とお伝えしても、実行のしようがありません。なお、こうした検査や入れ歯の調整の多くは保険が適用されます。より薄く作る入れ歯など、自由診療(保険適用外)の選択肢をご希望の場合は、費用を事前にお伝えしたうえでご相談します。
▲ まず噛める状態を整えることから始めます
5. 毎日できること
口の働きも、体の筋肉と同じで使うことで保てます。まず、意識して噛む回数を増やしてください。食材を大きめに切る、噛みごたえのあるものを一品加えるといった工夫でも変わります。会話や音読も、口の周りの筋肉を使う機会になります。
唾液を出す習慣も大切です
唾液が減ると、飲み込みにくさや口の乾きにつながります。よく噛むこと自体が唾液を出す刺激になりますし、あごの下や頬を軽くさするマッサージも知られています。水分をこまめに摂ることも忘れないでください。
▲ 特別なことをする必要はありません
6. 口の清潔さが肺を守ります
飲み込む力が落ちてくると、食べ物や唾液が誤って気管に入ることがあります。このとき、口の中の細菌が一緒に運ばれると、肺で炎症を起こすことがあります。誤嚥性肺炎と呼ばれ、高齢の方にとって注意すべき病気のひとつです。
口を清潔に保つこと自体が予防になります
口の中の細菌を減らしておけば、誤って入った場合の影響を小さくできます。歯が残っている方は歯みがきを、入れ歯の方は入れ歯と粘膜の清掃を続けてください。ご自身で難しくなってきた場合は、方法をご相談ください。ご家族が手伝う場合の道具や手順もお伝えできます。
▲ 気づきにくいほうこそ、確認する意味があります
7. 年齢のせいにしないでください
「年だから仕方がない」と受け止められる方が多くいらっしゃいます。確かに加齢による変化はありますが、すべてがそうとは限りません。合わない入れ歯、治療していない歯、口の乾き。取り除ける原因が含まれていることは珍しくありません。
まず確認するところから
何が原因で食べにくいのかは、口の中を見なければ分かりません。歯の問題なのか、入れ歯の問題なのか、働きの低下なのか。それぞれ対応が違います。まずは現状を確認して、できることから整えていければと思います。
▲ 「年のせい」の中に、取り除ける原因が混じっています
まとめ|落ちはじめに気づくことが大切です
口の働きの衰えは、突然ではなく少しずつ進みます。硬いものを避ける、少しむせる、食事に時間がかかる。こうした小さな変化が先に現れ、この段階では自覚しにくいのが特徴です。しかし早い時期であれば、働きを取り戻せる可能性が残っています。
噛みにくさからやわらかい食品に偏ると、たんぱく質が不足して筋力が落ち、さらに食べにくくなるという循環に入ります。まず噛める状態を整えたうえで、噛む回数を増やす、口を動かす、唾液を出す、口の中を清潔に保つ、という日々の積み重ねが助けになります。口の清潔さは誤嚥性肺炎の予防にもつながります。変化の現れ方には個人差がありますので、「年のせい」と決める前に一度ご相談ください。大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックまでどうぞ。
▶ 予防歯科・定期検診について詳しくはこちら
▶ 入れ歯・義歯
▶ 歯のクリーニング(PMTC)
▶ 歯周病治療
▶ 24時間ネット予約
出典・参考資料
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高齢者の口腔機能」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
- 厚生労働省「健康日本21(第三次)」
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。詳しくは歯科医師にご相談ください。








