ワイヤー矯正とマウスピース矯正、どちらを選ぶ?10項目で比較

歯並びを整えたいと考えたとき、最初に迷うのが装置の選び方ではないでしょうか。目立たない装置に惹かれる一方で、しっかり動かせるのはどちらなのかも気になるところだと思います。

結論を先に申し上げると、どちらが優れているという話ではありません。歯をどう動かす必要があるのか、そして生活の中で装置をどう扱えるのか。この二つによって、適した方法は変わります。大阪市西区・九条の当院での考え方を、比較の形で整理してご説明します。

目次

  1. 力のかけ方が根本的に違います
  2. 10項目で比べてみます
  3. マウスピース矯正は装着時間がすべてです
  4. ワイヤー矯正の扱いにくさ
  5. 組み合わせるという方法もあります
  6. 費用と期間の考え方
  7. どちらを選んでも保定は必要です
  8. まとめ|必要な動きと、生活の条件から選びます

1. 力のかけ方が根本的に違います

ワイヤー矯正は、歯の表面に装置を付け、そこに通したワイヤーの力で歯を動かします。装置が歯に固定されているため、引っ張る、ねじる、起こすといった複雑な力をかけられます。一方マウスピース矯正は、少しずつ形の違う装置に交換していき、その形の差によって歯を押し動かします。

得意な動きが違います

押して動かす仕組みのマウスピース矯正は、傾きの調整のような動きを得意とします。逆に、歯を根ごと平行に移動させる、大きく回転させるといった動きは、ワイヤーのほうが確実に行えます。必要な動きの内容によって、選べる方法が絞られることがあります。

二つの方法の仕組みの違い 1 ワイヤー 歯に固定した装置と ワイヤーで引く 2 複雑な動き 回転や引き上げも 対応しやすい 3 マウスピース 形の差で 少しずつ押す 4 取り外せる 食事と歯みがきが 普段どおりできる 必要な動きによっては、選べる方法が限られることがあります

▲ 仕組みが違うため、得意な動きも変わります

2. 10項目で比べてみます

実際に選ぶときは、見た目だけでなく、日々の扱いやすさや通院の頻度まで含めて考える必要があります。ここでは、ご相談の際によく話題になる項目を並べてみます。ご自身の生活に照らして、どこを重視するかを考える材料にしていただければと思います。

重視する項目は人によって違います

接客業で見た目を優先したい方、出張が多く通院間隔を空けたい方、自己管理に自信がない方。それぞれ答えは変わります。正解が一つに決まらないからこそ、ご自身の条件を整理しておくことに意味があります。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正 比較項目 ワイヤー マウスピース 見た目 装置が見える 目立ちにくい 取り外し できない できる 食事 制限がある 外せば普段どおり 歯みがき 工夫が必要 外して普段どおり 複雑な動き 対応しやすい 苦手な動きがある 自己管理 装着は不要 装着時間を守る 通院の間隔 月1回程度 空けられることも 痛みの出方 調整後に強め 交換時にじわりと 紛失の心配 ない 外したときに注意 適応の範囲 幅広い 症例による

▲ どこを重視するかによって、選ぶ方法が変わります

3. マウスピース矯正は装着時間がすべてです

取り外せることは大きな利点ですが、同時に最大の注意点でもあります。1日20時間以上といった装着時間の目安が守られなければ、計画どおりに歯は動きません。外している時間が長い日が続くと、次の装置が合わなくなり、作り直しが必要になることもあります。

外している時間を数えてみてください

食事に1時間、歯みがきに15分。これを1日3回とすると、それだけで4時間近くになります。ここに間食やお茶の時間が加わると、目安を下回ることは珍しくありません。装着時間の管理は、想像よりも意識が必要です。外したらすぐに戻す、外した装置は決まったケースに入れる。この二つを習慣にできるかどうかが、実際の進み具合を分けています。うまくいかない日が続くようであれば、我慢せずご相談ください。方法を見直すこともできます。

1日のうち外している時間 20時間 が目安 装着している時間 この時間だけ歯が動きます 外している時間 食事・歯みがき・間食 守れない日が続くと 計画のやり直しになることも 必要な装着時間や進み方には個人差があります

▲ 食事と歯みがきだけで、想像以上の時間になります

4. ワイヤー矯正の扱いにくさ

ワイヤー矯正は、装置が付いたままなので装着時間を気にする必要がありません。そのぶん確実に力がかかり続けます。一方で、食事の制限があり、歯みがきには工夫が必要です。装置の周りは汚れがたまりやすく、清掃が不十分だとむし歯のリスクが上がります。

清掃の負担は増えます

通常の歯ブラシに加えて、装置の周りを磨くための補助的な道具が必要になります。慣れるまでは時間がかかりますが、治療中にむし歯を作ってしまうと、矯正を中断して治療することになります。ここは避けたいところです。

それぞれの注意点 ワイヤー矯正の注意点 ・装置の周りに汚れがたまる ・補助的な清掃道具が必要 ・硬い・粘着性の食べ物を避ける ・調整後に痛みが出やすい ・装置が見える マウスピース矯正の注意点 ・装着時間を守れないと動かない ・外したまま忘れることがある ・紛失・破損のおそれ ・色の付く飲み物は外して飲む ・対応できない動きがある

▲ 利点の裏側には、必ず注意点があります

5. 組み合わせるという方法もあります

最初はワイヤーで大きく動かし、仕上げの段階からマウスピースに切り替える。あるいは前歯だけをマウスピースで整える。こうした組み合わせを選ぶこともあります。片方に決めなければならない、というものではありません。

検査をしないと判断できません

どの方法が適しているかは、歯の重なり方、あごの骨の状態、かみ合わせのずれ方によって変わります。レントゲンや歯型をもとに検査を行い、そのうえで実現できる範囲と期間の見通しをご説明します。ご相談だけでも構いません。

決めるまでの流れ 1 相談 希望と生活の条件を確認 2 検査 歯・骨・かみ合わせを調べる 3 計画の提示 方法・期間・費用を説明 4 選んで開始 納得のうえで進める ご相談の段階で決めていただく必要はありません

▲ 検査の結果を見てから、方法を一緒に決めます

6. 費用と期間の考え方

矯正治療は自由診療(保険適用外)です。費用は装置の種類と治療の範囲によって変わり、期間も歯の動き方によって差があります。安く見える金額でも、装置の追加や調整料が別途かかる場合がありますので、総額でどうなるかを確認しておくことが大切です。

終わったあとの費用も含めて

装置が外れたあとには保定装置が必要です。この費用が含まれているかどうかも、確認しておきたい点のひとつです。当院では、治療前に総額の見通しをお伝えするようにしています。料金表のページもあわせてご覧ください。

費用を確認するときの項目 検査・診断の費用は別か 毎回の調整料はかかるか 保定装置の費用は含まれるか 装置を追加する場合の費用 支払いの時期と方法 医療費控除の対象になるか 医療費控除の対象になる場合があります

▲ 総額でいくらになるかを確認しておくと安心です

7. どちらを選んでも保定は必要です

装置が外れた直後の歯は、まだ周りの組織が安定していません。何もしなければ元の位置へ戻ろうとします。これを後戻りと呼びます。せっかく時間と費用をかけて整えた歯並びを保つためには、保定装置を決められた期間使い続けることが欠かせません。

ここを省くと元に戻ります

保定は、動かす期間と同じくらい重要な工程です。装置が外れて治療が終わったと感じられるお気持ちはよく分かりますが、ここからが本当の意味での仕上げになります。使用の期間と時間については、状態を見ながらご案内します。

治療全体の流れ 1 検査・診断 方法を決める 見通しを共有する 2 動かす期間 定期的に調整 清掃の管理も続ける 3 装置を外す 並びが整う ここからが保定 4 保定期間 位置を安定させる 省くと後戻りする 必要な期間には個人差があります

▲ 装置が外れて終わりではありません

まとめ|必要な動きと、生活の条件から選びます

ワイヤー矯正は歯に装置を固定して力をかけるため、複雑な動きに対応しやすく、装着時間を気にする必要がありません。マウスピース矯正は目立ちにくく、食事と歯みがきを普段どおり行えますが、装着時間を守れなければ計画どおりに進みません。仕組みが違うため、得意なことも注意点も異なります。

どちらを選ぶかは、必要な歯の動きと、生活の中で装置をどう扱えるかの二つで決まります。組み合わせて用いることもあり、検査をしたうえでないと判断はできません。矯正治療は自由診療(保険適用外)で、動き方や期間には個人差があります。まずは現状の検査からご案内していますので、大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックまでご相談ください。

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出典・参考資料

  • 公益社団法人 日本矯正歯科学会
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
  • 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
  • 国税庁 タックスアンサー「医療費控除の対象となる歯の治療費」

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。本記事で扱う治療には自由診療(保険適用外)が含まれます。詳しくは歯科医師にご相談ください。