「歯の神経を取りましょう」と言われて不安になった、という声をよく伺います。大阪市西区・九条の当院でも、根管治療についてのご質問は少なくありません。何回通うのか、痛みはどれくらい続くのか、そして治療した歯がまた痛くなることはないのか——気になる点は共通しています。
根管治療は、むし歯が神経まで達した歯を抜かずに残すための治療です。歯の内部という見えない部分を扱うため、丁寧に進める必要があります。この記事では、治療の流れから通院回数、痛みの経過、再発を防ぐ条件までを整理します。
目次
- 根管治療とは?歯を抜かずに残すための治療
- 通院回数の目安は3〜5回。なぜ複数回かかるのか
- 治療中・治療後の痛みはどれくらい続くのか
- 再発(再感染)はなぜ起きるのか
- 精度を左右する3つの条件
- 「抜歯」と言われたら|残せる可能性を確かめる
- 治療後は必ず被せ物まで終わらせる
- まとめ|歯を残すための治療だからこそ、最後まで
1. 根管治療とは?歯を抜かずに残すための治療
歯の中心には歯髄と呼ばれる神経と血管の通り道があり、この空間を根管といいます。むし歯が進行して細菌がここまで達すると、強い痛みが出たり、やがて神経が死んでしまったりします。根管治療は、感染した歯髄を取り除き、根管の内部を清掃・消毒したうえで薬剤を詰め、細菌が再び入らないよう密閉する治療です。
神経を取ると歯はどうなるのか
神経を取った歯は痛みを感じなくなりますが、同時に血流も失われるため、もろくなり割れやすくなります。また、むし歯が再発しても痛みで気づけません。だからこそ治療後の被せ物と定期的な確認が重要になります。可能であれば神経を残す選択肢も含めて検討します。
▲ 見えない歯の内部を扱うため、各工程を確実に進める必要があります
2. 通院回数の目安は3〜5回。なぜ複数回かかるのか
根管治療の通院回数は、歯の状態や根管の本数によって変わりますが、おおむね3〜5回程度が目安です。前歯は根管が1本のことが多く比較的少ない回数で終わりますが、奥歯は根管が3〜4本あり、形も複雑なため回数が増える傾向があります。感染が強い場合はさらに必要になることもあります。
1回で終わらせないのには理由がある
根管の内部を清掃したあと、細菌が十分に減ったことを確認してから薬剤を詰めます。感染が残ったまま密閉すると、内部で細菌が増えて再発の原因になります。急いで回数を減らすことより、確実に消毒を終えることが結果的に歯を長持ちさせます。
▲ 歯の位置と根管の本数によって、必要な回数は変わります
3. 治療中・治療後の痛みはどれくらい続くのか
治療中は麻酔をするため、強い痛みを感じることは多くありません。一方で、治療後に数日間ほど噛んだときの違和感や鈍い痛みが出ることがあります。これは治療の刺激で根の先の組織が一時的に反応しているもので、多くの場合は数日から1週間程度で落ち着いていきます。
受診したほうがよい痛み
強い痛みが数日たっても引かない、腫れがある、熱が出た、噛めないほど痛むといった場合は、途中でもご連絡ください。内部で感染が広がっている可能性があり、処置の見直しが必要なことがあります。我慢して次回まで待つ必要はありません。
▲ 強い痛みが続く場合は、次回を待たずにご連絡ください
4. 再発(再感染)はなぜ起きるのか
根管治療をした歯が、数年後にまた痛み出したり膿が出たりすることがあります。これは根管の内部に細菌が再び入り込んで増えた状態です。根管は細く枝分かれしていて肉眼では見えにくく、わずかな取り残しやすき間が再感染の入口になります。治療した歯が二度と問題を起こさないとは限りません。
再治療は初回より難しくなる
一度詰めた薬剤を取り除いてから再び清掃するため、再治療は初回より手間がかかり、成功率も下がるとされています。歯もその分薄く弱くなります。だからこそ最初の治療でどれだけ丁寧に感染を取りきれるかが重要になります。
▲ 治療の精度と、その後の管理の両方が結果を左右します
5. 精度を左右する3つの条件
根管治療の結果は、術者の技術だけでなく、どのような環境と器具で行うかにも左右されます。特に重要なのが、唾液の侵入を防ぐこと、細部を見えるようにすること、そして根管の内部を確実に消毒することの3点です。これらは目に見えにくい部分の差ですが、数年後の結果に表れます。
当院での取り組み
当院では拡大鏡(サージテル)を用いて、肉眼では確認しづらい根管の入口や内部の状態を拡大して確認しながら処置を行っています。また、診療に使う水にもこだわり、清潔な環境を保つよう努めています。見えないところこそ丁寧に、という考え方で治療にあたっています。
▲ どれも目に見えにくい部分ですが、数年後の結果に表れます
6. 「抜歯」と言われたら|残せる可能性を確かめる
他院で抜歯と診断された歯でも、状態によっては根管治療で残せる場合があります。逆に、歯根が大きく割れている、支える骨が広範囲に失われているといった場合は、無理に残すことがかえって周囲の歯や骨に悪影響を及ぼすこともあります。判断にはレントゲンなどの検査が欠かせません。
残す・抜くの判断材料
歯を残せるかどうかは、歯根にひびが入っていないか、健全な歯質がどれだけ残っているか、周囲の骨の状態はどうかといった点から総合的に判断します。ご自身の歯を残したいというお気持ちは大切にしつつ、長い目で見てどちらが良いかを一緒に考えます。
▲ 判断にはレントゲンを含む検査が必要です
7. 治療後は必ず被せ物まで終わらせる
根管治療でよくあるのが、痛みが取れた時点で通院をやめてしまうケースです。しかし薬剤を詰めただけの状態は、仮のふたがしてあるにすぎません。時間がたつと仮のふたは劣化し、そこから細菌が入り込みます。せっかく清掃した根管が再び汚染され、治療をやり直すことになってしまいます。
神経のない歯は割れやすい
神経を取った歯はもろくなっているため、被せ物で覆って歯全体を保護する必要があります。被せずに噛み続けると、ある日突然歯が縦に割れて抜歯になることがあります。痛みが消えても治療は終わっていない、とお考えください。
▲ 痛みが消えても治療は終わっていません
まとめ|歯を残すための治療だからこそ、最後まで
根管治療は、抜歯を避けて自分の歯を残すための治療です。通院回数は3〜5回程度が目安で、複数回かかるのは根管の中の細菌を確実に減らしてから密閉するためです。治療後の痛みは数日から1週間程度で落ち着くことが多いものの、強い痛みや腫れが続く場合は早めにご相談ください。
そして最も大切なのが、被せ物まで終わらせることです。痛みが消えた時点で通院をやめてしまうと、再感染や歯の破折につながります。大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックでは、拡大鏡を用いた精密な処置と、治療後の経過確認までを含めてご対応しています。歯の痛みや他院での抜歯診断でお悩みの方は、一度ご相談ください。
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出典・参考資料
- 特定非営利活動法人 日本歯内療法学会
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
- 一般社団法人 日本歯科保存学会
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。詳しくは歯科医師にご相談ください。








